M.2 SSDの商品ケース

自作PCのSSDを大容量のものに交換!換装方法とクローンの作り方

自作PCはアップグレードしたいパーツを交換しながら使用できるのが大きなメリット。しかし、パーツ交換を繰り返しながら使用していると、予期しない問題が発生することもある。

今回は動画編集していると、突然ストレージの容量不足を知らせるエラーが表示された。ふとチェックしてみると動画データを保存しているストレージの容量は残りわずか。ついでにCドライブの容量も残り200GBを切っていた。

ということで、Cドライブとして使用しているSSDと動画データ保存用のSSDの2台を交換することにした。本記事では、選んだSSDのレビューしつつ交換方法を紹介したいと思う。

SSDの交換は結構簡単なので、容量が足りなかったり速度が遅かったりして困っているなら、この機会に交換を検討してみてもいいと思うゾ☆

自作PCのSSDを交換するのに必要なもの

PCに搭載されたM.2 SSD

まずは交換に必要なものを用意しよう。環境によって多少の違いがあるかもしれないが、基本的に以下の2つを用意しておけばいいと思う。

  • 交換用のSSD(必要な台数)
  • NVMe接続のSSDをUSB接続に変換するアダプタ

交換用SSDが必要なのは当たり前だが、見落としやすいのがNVMe接続のSSDをUSB接続に変換するアダプタだ。交換するということは、中のデータを新しいSSDに移さなければならない。

そんなときに使えるのが変換アダプタなので、忘れずに用意しておこう。用意していなくてもデータの移動はできるが、面倒になる。

交換用のSSD

MONSTER STORAGEのSSD(2TBと4TB)

まず必要なものは、交換用のSSDだ。というかこれがないと何もはじまらない。

今回はPCEe Gen4に対応したSSDのうち、2TBと4TBの両方をラインナップしているMONSTER STORAGEのSSDを採用した。

これを選んだのは、なぜかAmazonで安く売ってたからなんだけどネ☆

NVMe接続のSSDをUSB接続に変換するアダプタ

NVMe接続のSSDをUSB接続に変換するアダプタ

今回のSSD換装では、内部にあるデータはそのまますべて新SSDに移行する。そのため、一時的に両方のSSDをPCに接続してデータを移さなければならない。

そのために用意したのが、NVMe接続のSSDをUSB接続に変換するアダプタだ。これを利用すれば、スティックSSDと同じ形でPCに接続できるようになる。

どのように使うかは後述するので、SSD換装を予定している人はぜひ参考にしてみてほしい。

今回選んだのは、ケーブルなしで直接PCのUSBポートに接続できるタイプのやつ。接続しやすいだけでなく、保存中にケーブルを紛失するリスクがなくなるのもいい点だと思う。

古いSSDを新しいSSDに換装する方法

デスク上に設置してあるPC

実際にどのような流れでSSDを換装するのかを紹介したいと思う。ここで紹介する手順は以下の3つだ。

  • 新しいSSDにデータを移す
  • PC内のSSDを交換する
  • 正常に起動するか確認する

下記でそれぞれの手順を詳しくみていこう。データ移動に使えるソフトウェアも紹介するので、ぜひ参考にしてみてほしい。

STEP1: 新しいSSDをUSBアダプタに装着する

まずはデータを移行するための下準備をしよう。新しいSSDをPCに接続するため、アダプタに装着する必要がある。使用するアダプタによって装着方法が異なるが、今回は以下の手順で装着した。

1. アダプタの外装を分解する

SSD用のUSBアダプタのネジを外しているところ

ほとんどのUSBアダプタは、ヒートシンク代わりとして使える金属の外装がついている。そのため、まずはこれを外さなければならない。

今回購入したアダプタは、裏側にある4本のネジで固定されていたのでこれを外す。

2. 基盤を取り外す

分解したUSBアダプタとNVMe SSDを装着するスロット

ネジを外すと上のようにNVMeスロットを搭載した基盤が現れる。基本的に、SSDをここに装着して再度固定するだけでOKだ。

3. スロットにSSDを装着する

SSDスロットにNVMe SSDを装着しているところ

このように切り欠きの位置を合わせてスロットに挿入する。表裏が逆になっていると切り欠きの位置が大きくズレてちゃんとはいらないため、すぐ気づくと思う。

4. ケースにセットする

SSDを装着した基盤をケースに収めているところの様子

最後にこのようにケースに収納し、外装の金属板をネジ止めすれば完了だ。はずれないことを確認したら次に進もう。

STEP2: 新しいSSDをフォーマットする

事前準備が整ったら、いよいよデータ移行に進む。そこまで複雑な作業は必要ないため、迷わず進められると思う。

1. PCに新しいSSDを接続する

USBポートにSSDを接続する

まずは上のように、SSDを搭載したUSBアダプタをPCに接続しよう。単純にPCにあるUSBポートに接続するだけでOKだ。

転送速度に大きな違いがあるため、できるだけUSB 3.2 Gen1以降の規格に対応したポートに接続することをオススメする。

2. ディスクの管理からフォーマットする

ディスクの管理画面

接続が完了したら、Windowsの標準機能として搭載されている「ディスクの管理」から新しいSSDをフォーマットする。これをしないと後述するクローン作成ソフトが認識しないから注意が必要。

まずはWindows + Xを入力して表示されるメニューから、「ディスクの管理」を選択する。すると上記のようなウィンドウが表示される。

今回は別のSSDで例示しているため、換装に使った2TBのものではなく1TBのものが表示されている点に注意してほしい。

上記の場合、「Disk 3」がフォーマットされていないストレージであることを示している。

フォーマットしたいディスクを右クリックすると、メニューが表示される。メニュー最上部に「ディスクの初期化」があるため、これをクリックして次に進む。

あとは表示されるウィザードにしたがって作業を進めるだけでOKだ。パーティションスタイルはGPTを選択しておくといい。

完了したらオンラインと表示されるので、それを確認したら次の手順に進もう。

3. 新しいシンプルボリュームを割り当てる

新しいボリュームを割り当てる

次に、未割り当てになっている領域を右クリックする。そうするとメニューが表示されるため、「新しいシンプルボリューム」をクリックする。

その後はウィザードにしたがって作業を進める。ここでパーティションを切る必要はないため、1つのドライブとして割り当てて問題ない。

4: 正常に割り当てられたことを確認する

作業が完了したら、上記のように正常に認識されてドライブレターが割り当てられたことを確認する。この状態になっていないと、データ移動に使用するクローンソフトで認識しないため注意しよう。

正常に認識されていることを確認したら、安心して次の手順に進めるゾ☆

STEP3; データを新しいSSDに転送する

PCが正常に新しいSSDを認識するようになったら、古いSSDから新しいSSDにデータを転送する。具体的な転送方法を紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

1. Macrium ReflectをPCにインストールする

まずはデータ転送に必要なソフトをインストールする。今回はシステムドライブ(Windowsをインストールしているドライブ)を新しいSSDに移すため、クローンを作成しなければならない。

これまでクローン作成にはEaseUS Todo Backupを使用していた。しかし、いつの間にかクローン作成が有料化されていて無料トライアルでも使用できなくなっていた。

そのため新しいソフトを探していたところ、Macrium Reflectがあったのでこれを使う。まずは以下のサイトからMacrium Reflectをダウンロードしてインストールしよう。

インストールするのは「Reflect 8 Home Trial」でOKだ。

Macrium Reflectダウンロードページ

2. Macrium Reflectを起動する

ソフトを起動すると、上記のように認識されているストレージがすべて表示される。ここで移行元と移行先のSSDの両方が認識されていることを確認しておこう。

3. 移行元の古いSSDを選択する

移行元の古いSSDを選択する

両方のSSDが認識されていることを確認したら、上記を参考にして移行元のSSD(古いSSD)を選択する。ここで間違えると古いSSDに新しいSSDをコピーすることになるため、ドライブレターを確認して間違えないようにしよう。

間違えると空のSSDが完成するゾ☆

ディスクを選択したら、Clone this diskをクリックして次に進む。

4. 移行先の新しいSSDを選択する

次に、上記のウィンドウが表示されたら移行先の新SSDを選択する。通常、新SSDは空だから間違えることは無いと思う。

きちんと選択したことを確認したら、次に進もう。

5. パーティションを調節する

パーティションのサイズを設定する

容量が違うSSDにクローンを作るときは、この時点でドライブの容量を忘れずに変更しよう。

上記のように「Copy Partitions」をクリックし、表示されるメニューから「Shrink or extend to fill the target disk」を選択すれば完了だ。

移行先の新SSDの容量にあわせて下に表示されているゲージが調整されるので、チェックしておこう。

6. Finishをクリックする

内容に問題がないことを確認したら、右下の「Finish」をクリックしよう。

これをクリックすると、自動でクローンの作成がスタートする。完了するまでには相当の時間がかかるため、暇なときにやるのがオススメだゾ☆

今回は寝る前にスタートしておいたので、朝起きたらクローンの作成は無事に完了していた。

STEP4: PC内のSSDを交換する

クローンの作成が完了したら、PCケースを開けてマザボにアクセスし、SSDを換装しよう。

古いSSDを外して新しいSSDを挿入したら完了だ。

M.2 SSDの換装は簡単でケーブルの取り回しも必要ないため、迷うことはないと思う。

今回はグラボが邪魔だったから1回外してから換装したけどネ☆

STEP5: 正常に起動するか確認する

新しいSSDを確認する

換装が終わったら、PCを起動してみよう。クローンを作成しているため、そのまま起動するのが通常だ。

今回も問題なく特別な設定なしで起動した。

起動後、エクスプローラからCドライブを確認したところ、上記のようにきちんと2TBであると表示されていた。

クローン作成時にきちんとドライブが拡張されたことがわかる。

新SSDの読み書き速度をチェック!

デスク上のPCと周辺機器

ただ「SSDを大容量のものに換装したよ!」だけじゃ面白くないので、ベンチマークソフトを使って各SSDの速度をチェックしてみた。

なお、今回換装したSSDは2本ともPCIe Gen4×4に対応しているものだ。旧世代の規格と転送速度を比較すると、理論値ベースで以下の違いがある。

  • PCIe Gen4×4: 約8GB/s
  • PCIe Gen3×4: 約4GB/s

上記の理論値をチェックした上で、今回換装したSSDの速度をチェックしていこう。

【Gen4接続 システムドライブ用】MS950G75PCIe4 2TB

PCIe Gen4のSSD速度

まずはシステムドライブに使用したMONSTER STORAGEのSSD(2TB)の速度をチェックしていこう。

リードが約7,202MB/s、ライトが約4,703MB/sだった。メーカーは最大リード7,450MB/s、ライト6.500MB/sとアナウンスしているため、ライトがやや遅い気がする。

まあ、この程度の速度が出ていれば実用性の面で何の問題もない。

【Gen3接続 データ保存用】MS950G75PCIe4 4TB

PCIe Gen3のSSD速度

次にデータドライブとして使用している4TBのSSDをチェックする。こちらもMONSTER STORAGEのPCIe Gen4×4に対応しているのだが、マザボの仕様によってPCIe Gen3×4接続になっている。

使っているマザボにPCIe Gen4×4に対応したSSDスロットが1個しかないのが原因。

そのため、リード約3,257MB/s、ライト3.152.8MB/sになった。理論値が4,096MB/sであることを考えると、まあこんなもんかな?といった印象だった。

こっちに大容量データを入れる機会が多いから、Gen4対応スロットに搭載したほうがよかったかもしれない。

【SATA接続 動画保存用】Samsung SSD 860 EVO 1TB

SATAのSSD速度

おまけとして、今回は換装していないSATA接続のSSDの速度もチェックしていこうと思う。本来は換装で余った1TBのSSD(元システムドライブ)に置き換える予定だったが、SSDスロットが2つしかないためあきらめた。

SATAは通信速度が遅いため、リード約564MB/s、ライト約536MB/sになった

まあ、動画ファイルのバックアップなどに使用しているドライブなので、あまり速度は重視していない。HDDは遅すぎるから論外だとしても、この速度が出ているSATA接続のSSDなら今のところ問題ない(と思う)

新しいSSDに換装して思ったこと

最後に、SSDを換装してどうだったのか、その換装を書いていこうと思う。速度向上や容量追加を目的としてSSDの換装を検討している人にとっては、参考になるかもしれない。

ただし、あくまでも個人の感想なので過信は禁物だゾ☆

容量不足は解消された

SSD換装前の様子

主目的としていた容量不足は解消された。とくにCドライブの換装前は、上記のように190GBしか空き容量がなかった。

換装後は1TB以上空いている状態になったので、しばらく容量不足で困ることはないと思う。

Cドライブの速度向上は実感できない

次に速度面だが、Cドライブの速度向上は実感できない。PCIe Gen3×4接続からPCIe Gen4×4接続になったことで約2倍の転送速度が出るようになったが、やっぱり実感できない。

ゲームを含めたソフトウェアの起動速度など、今までと変わらないと思う。少なくとも2023年時点では、Cドライブの速度を大幅に高める必要はあまりないと感じた。

データドライブの速度向上は実感できる

SATA接続のSSDからPCIe Gen3×4接続のSSDに交換したデータドライブは、速度が向上していることを実感できた。

とくに動画編集においてPremiere Proで動画データを操作する場合、読み込みが早くなったため換装した効果は十分にあると感じた。

ということは、やっぱりPCIe Gen4×4に対応したスロットにデータドライブ用のSSDを搭載したほうがいいと思う。

あとで暇なときにこっそり直すかもしれない。

SSD換装は簡単なので容量や速度で困っているならやってみよう!

マザーボード上のM.2 SSD

今まで使っていた自作PCに搭載しているSSDのうち、Cドライブの容量不足とデータドライブの速度不足を解消するために実施したSSDの換装。

データ転送や交換に多少の手間がかかるものの、そこまで難しいものではない。容量不足も速度不足も解消されたので、やってよかったと思う。

2023年時点ではSSDの価格もかなり安くなっているので、今まで容量が少ないものを使っていた人やHDDで我慢していた人はこの機会に交換するのもいいと思う。