ゲーミングマウスとUSBハブの検証

【検証】USBハブにゲーミングマウスを接続すると遅延する?

以前、USBハブにマウスとかキーボードとかをつないでデスク上の配線を整理する方法を紹介した。

PC背面のポート数が限られていたり、抜き差しが面倒だと感じたりしてUSBハブの導入を検討している人もいるかもしれない。

しかし、ゲーミングマウスやゲーミングキーボードなどをつないでいるなら、USBハブを使うことでどの程度遅延するのか、センサーの感度に影響するのかが気になるもの。

今回は、ゲーミングマウスをUSBハブにゲーミングマウスを接続するとどのような影響があるのか検証してみたので、その結果を見ていく。

「USBハブの導入を検討している、けど遅延や挙動への影響が気になって導入に踏み切れない」と思っているなら、ぜひチェックしてみてほしい。

【結論】USBハブにゲーミングマウスをつないでも目立った遅延はない

USBハブ

いきなり結論だが、今回の検証ではゲーミングマウスをPC背面のUSBポートに直挿ししたときとUSBハブを経由したときで、ゲーミングマウスの遅延は一切感じられなかった

検証内容については後で解説するが、遅延や挙動の変化、性能の劣化は見られないので安心してUSBハブにゲーミングマウスつなげるといえる。

なお、なぜUSBハブを導入したのかについては以下の記事で解説しているので、気になる人はあわせてチェックしてほしい。

検証時のPC環境

メインPC
項目詳細
CPUAMD Ryzen 7 5800X
GPUNVIDIA GeForce RTX 3080
マザーボードB550 AORUS PRO
OSWindows 10 Pro 64bit (21H2)
ストレージ・1TB M.2 SSD(NVMe)
・1TB SATA SSD
・4TB HDD

普段使っているメインPCの基本的なスペックは上記の通り。

ゲーム・動画編集に使用するのでそれなりのスペックの自作PCを 使用している。

基本的に作業時に困ることはない。今回の検証も、このメインPCを使って行う。

使用したデバイス

次に、検証に使用したデバイスを紹介する。デバイスが違っても結果に影響が出るとは考えにくいが、参考程度にはなるかもしれない。

検証に影響を及ぼす可能性が高いゲーミングマウス、USBハブ、その他のUSBデバイスについて解説する。

なお、今回はゲーミングキーボードの遅延や性能劣化についても検証したかったが、キーボードの性能を精細にチェックする方法が思いつかなかったのでマウスのみの検証とした。

マウスで問題がなかったことを考えると、キーボードでも問題がない可能性が高い

ゲーミングマウス

Corsair SCIMITAR RGB ELITE

検証に使用したゲーミングマウスは「Corsair SCIMITAR RGB ELITE」というもの。

これはFPS向きのマウスではなく、MOBAやMMOなどに使うことを想定して開発されたものだ。

ゲームだけではなく、普段のさまざまな作業に活用しているので、今回もこれで検証した。

なお、この記事を書くときにももちろん使っている。また機会があれば、このマウスについても詳しくレビューしたい。

似たようなマウスはRazerなども出しているが、今の所これがいいと思う(主に耐久性の面で)。

USBハブ

エレコム製のUSBハブ U3H-T706S

使用するUSBハブはエレコム製のU3H-T706Sという製品。USB 2.0が4ポート、USB 3.2 Gen1が3ポートの合計7ポートを搭載している。

検証に使用したゲーミングマウスはUSB 2.0のポートに接続して動作チェックを行う。

なお、このUSBハブはセルフパワー・バスパワーの両方に対応している。ACアダプタを接続すればセルフパワーになる。

検証ソフト

検証に使用するソフトは、ゲーミングマウスのセンサー性能をチェックするのによく用いられる「Mouse Tester」を採用。というか、これ以外に適切なソフトが思いつかなかった。

もし、手持ちのゲーミングマウスのセンサー性能が気になるなら、以下からダウンロードできるのでぜひ試してみてほしい。

Mouse Testerのダウンロードリンク: https://www.overclock.net/threads/mousetester-software.1535687/

外部USBデバイス一覧

  • ゲーミングマウス
  • ゲーミングキーボード
  • Webカメラ
  • ヘッドホン
  • マイク
  • 外付けストレージ

この6デバイスを検証に使用したUSBハブに接続している。

なお、ゲーミングキーボードにもUSBポートが搭載されており、これを有効にするためには2つのUSB端子を接続しなければならない。

そのため、この6デバイスで7ポート全部が埋まった。10ポートくらいあるやつ買っておいたほうがよかったネ☆

接続方法ごとの結果詳細

マウス軌跡の比較

それでは、気になる検証結果をみてみよう。今回チェックしたのは以下の3パターン。

  • PC背面に直挿し
  • USBハブ使用(セルフパワー)
  • USBハブ使用(バスパワー)

それぞれMouse Testerの結果を見つつ確認していきたい。ゲーミングマウスの性能はゲームの成績に直結するといっても過言ではないので、USBハブへの接続を検討している人はぜひチェックしておいてほしい。

なお、Mouse Testerの結果はセンサーの動きを検知したポイントが青点で表示されている。

これが緑線から大きくズレていなければ精度が高いことを示す。折り返し点で大きく離れることはあるが、ポインタが飛んだり大きくズレたりしてる様子が見られなければここは問題ない

PC背面に直挿し

PC直挿し時のセンサーデータ

上記はPC背面のUSB 2.0ポート(マザーボード直結のポート)にゲーミングマウス(Corsair SCIMITAR RGB ELITE)を接続したときの結果。

緑線から大きく外れていたり、青点が大きく飛んでいる部分はほとんどない。

動かし始めてから11秒目くらいに少し上に外れている部分があるが、これ1点のみで他には見受けられず。

したがって、このマウスのセンサー性能は高いといえる。

PC直挿し時のマウス軌跡

上記の座標はマウスを動かしたときの実際の軌跡を示したもの。

ひと目見てマウスの軌跡がわかり、大きく上下または左右にずれている部分がないことが分かる。

センサー性能が悪いマウスはジグザグになる部分があったり、大きく飛んだりすることを考えるとこのマウスは非常に優秀。

これがPC背面のポートに直挿ししたときの結果なので、これから紹介するUSBハブ使用時のデータをこれと比較してチェックしていこう。

USBハブ使用(セルフパワー)

セルフパワー稼働時のセンサーデータ

これはセルフパワー稼働時のUSBハブにゲーミングマウスを接続したときの挙動。

こちらも青点が緑線からズレている部分がなく、正確にトラッキングしていることが分かる。

前述した直挿し時と比較してもほぼ同じであることがわかるのではないだろうか。

セルフパワー稼働時のマウス軌跡

実際の軌跡を示した座標データで見ても、ラインが揃っていて上下・左右にはずれている部分がないことがわかる。

したがって、セルフパワーのUSBハブにゲーミングマウスを接続しても遅延や性能の劣化は見られないといえる。

USBハブ使用(バスパワー)

バスパワー稼働時のセンサーデータ

続いて、バスパワー稼働のUSBハブにゲーミングマウスを接続したときのデータをみていこう。

バスパワーは外部電源から電力を供給せず、USBポートからの供給のみに頼る方法だ。

電力不足に陥りがちな方法ではあるが、今回の検証ではセンサー感度の低下は一切見られなかった

グラフを比較すると、PC直挿し時、セルフパワー稼働時と同じであることがわかるのではないだろうか。

バスパワー稼働時のマウス軌跡

実際の軌跡データは上記の通りで、こちらも大きな差はない。

3つとも似たようなパターンになっていて、ラインからズレた点は見受けられないことがわかる結果となった。

今回の検証では問題は見られなかった

センサーデータ比較

今回の検証結果を総合的にチェックすると、PC直挿し・セルフパワー稼働のUSBハブに接続・バスパワー接続のUSBハブの接続のいずれでもマウスの性能に差は見られなかった

検証結果としてはなんだかつまらないような気もするが、USBハブの導入を検討している人にとっては朗報。

性能が低下することはないので、安心してUSBハブにゲーミングデバイスを接続しよう。

ゲーミングマウスには影響がでなかったものの、検証中に別のデバイスに影響が出るというトラブルが発生したケースがあった。

次に、それらのトラブルについて解説するので、ぜひチェックしておいてほしい。場合によっては致命的なデメリットになるかもしれない。

一方でいくつかの注意点も

注意表示

ゲーミングデバイスには何の影響もなかったUSBハブ利用だが、別のデバイスに影響が出るケースがあったので最後にチェックしておきたい。

以下の3つはいずれも致命的なトラブルになる可能性があるものなので、自分の利用環境と照らし合わせてなにが注意すべき点なのかを理解した上で導入しよう。

もちろん、すべてのトラブルに有効な対処法があるので安心してほしい。

【バスパワー稼働時】外付けストレージの動作に影響が出た

バスパワー稼働のUSBハブで実験したときに、外付けストレージが認識しなくなるというトラブルが発生した。

外付けストレージはSATA接続のSSDを外部ストレージ化するインターフェースを介して接続したものであるが、バスパワー稼働時のみ認識したりしなくなったりという現象が発生。

おそらく、バスパワーで供給できる電力が不足し、動かせなくなったと考えられる。PC直挿し時およびセルフパワー稼働時には一切この現象は発生しない。

【バスパワー稼働時】Webカメラが動作しなくなった

バスパワー稼働時にはWebカメラが動作しなくなることもあった。

こちらも毎回動作しないわけではなく、動作したりしなかったりするので電力不足が原因と考えられる。

セルフパワー稼働では一切発生しないので、安定性を求めるならセルフパワー一択。

【バスパワー/セルフパワー共通】USBヘッドホンが動作しなくなった

今度は接続方式に関係なく、USBハブにヘッドホンを接続すると動作しないというトラブルだ。

正確には、接続して3分ほどは動作するものの、その後動作しなくなる(音が一切でない)。

結局のところ、これはUSB 3.2 Gen1ポートにヘッドホンを挿したときのみ発生することがわかった。

USB 2.0のポートに挿せば発生しないため、場所を間違えなければ大丈夫☆

USB接続のオーディオはUSB 3.2 Gen1ポートに接続するとこの現象が発生することがあるため、できるだけUSB 2.0ポートに指すことをおすすめする。

USB 2.0ポートが一切存在しないマザーボードも存在するが、USBオーディオを使うならリスクになるかもしれない。

セルフパワーのUSBハブなら安心して使える

セルフパワー対応のUSBハブ

今回は、USBハブにゲーミングマウスを接続すると性能が低下するのかを検証したが、結論として性能が低下しないことがわかった。

USBハブはポート不足を補ったり配線整理を楽にしてくれたりする便利なデバイスなので、ぜひ積極的に活用してはいかがだろうか?

USBハブを選ぶときは、以下の2点に注意して選ぶのがおすすめ。

  • セルフパワー稼働である
  • USB 2.0とUSB 3.2 Gen1以降のポートの両方を搭載している
  • 極端に安い製品ではない

セルフパワー稼働であれば外付けストレージなどの電力を食うデバイスもきちんと動き、USB 2.0ポートがあればオーディオを接続するときにも安心できる。

また極端に安い製品はそもそも粗悪品ですぐに壊れたり認識しなくなったりするものがあるので避けたほうがいい。

しっかり製品を選べば何の問題もなく使える、それがUSBハブというデバイスだ。