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【設定編】TP-Linkの2重ルータに近い環境でWANからWoLする話(その2)

前回、NURO光のONU兼ルータ(FG4023B)とTP-Linkのルータ(Archer C80)を併用した2重ルータのような環境でWANからWoLするまでの流れを解説した。

一応そこでも設定方法について簡潔に解説したが、あくまでも簡単にだったのでこの記事でさらに詳しく解説する。

NURO光を使用していて2重ルータ環境を回避できない人で、WANからWoLする必要があるならぜひ参考にしてほしい。

なお、ポートフォワーディングの設定などは応用すればサーバの公開などにも使用できると思う(まだ試していないので断言はできないが)。

設定の概要

FG4023BとArcher C80

FG4023BとArcher C80を併用してWANからWoLするための設定の概要は次のとおり。

  1. WANからマジックパケットを含むデータが着信する
  2. データを受け取ったFG4023BがArcher C80に転送する
  3. Archer C80が起動したいPCに転送する

ポートフォワーディングを使用して上記の設定を行えば、WAN側から届いたマジックパケットがPCに到達してPCが起動する。具体的な仕組みはリレーをイメージすれば分かりやすいと思う。

なぜ2重ルータを解消できないのか、何の目的でWANからWoLする必要があるのか気になる人は以下の記事も要チェック。

NURO光のONU(FG4023B)の設定

NURO光のONU FG4023B

最初に、NURO光から支給されているONU(FG4023B)の設定について解説する。

FG4023Bには下流に存在するArcher C80にマジックパケットを転送するための設定を行う。具体的な設定手順は以下のとおり。

ブラウザのアドレスバーにFG4023BのローカルIPを入力し、ログイン画面にアクセスできたら以下の操作をしよう。

  1. 管理用ID/PWを入力してログインする
  2. 上部の[詳細設定]をクリックする
  3. 左ペインの[LAN]をクリックする
  4. [静的DHCP – ホームネットワーク]の右下にある[+]をクリックする
  5. デバイス面のプルダウンをクリックし、[Archer_C80]を選択する
  6. 表示されたArcher C80のローカルIPを確認する
  7. [インターネット]タブをクリックする
  8. [ポートフォワーディング]の右下にある[+]をタップする
  9. 必要な情報を入力する
  10. [適用]をクリックする

早速それぞれの手順をチェックしていこう。

手順1: 管理用ID/PWを入力してログインする

IDとPWを入力してログインする

ログイン画面が表示されたら、FG4023Bの管理用アカウントのIDとパスワードを入力して[ログイン]をクリックしよう。

もし、パスワードがわからない場合は設定をリセットして一から設定をやり直す必要がある。

非常に面倒なので、設定したIDとパスワードを忘れないように注意しよう。

手順2: 上部の[詳細設定]をクリックする

詳細設定タブをクリックする

無事にログインできたら、次に上部の[詳細設定]タブをクリックする。

通常は[Wi-Fi]の隣にあるが、ファームウェアのバージョンによっては違うところに存在する可能性があるので、見つからないときは隅々までチェックしてみよう。

手順3: 左ペインの[LAN]をクリックする

LANをクリックする
[詳細設定]内のメニューに[LAN]があるので、次にこれをクリック。

ローカルIPの割り当て設定をはじめとしたLANに関する設定は基本的にここから行う。

手順4: [静的DHCP – ホームネットワーク]の右下にある[+]をクリックする

[+]をクリックして設定画面にアクセスする

右ペインをチェックすると、[静的DHCP – ホームネットワーク]という項目があるはず。

何も設定していなければここに何も記載されていないが、右下に[+]マークのボタンがある。

これが追加ボタンなので、クリックして次に進もう。

手順5: デバイス面のプルダウンをクリックし、[Archer_C80]を選択する

Archer C80を選択する
[+]をクリックすると入力欄が表示されるが、よく見ると[デバイス名]のところがプルダウンメニューになっている。

プルダウンをクリックすると、クリック時点で接続されているデバイスが全て表示される。このリストから[Archer C80]を選択しよう。

手順6: 表示されたArcher C80のローカルIPを確認する

ローカルIPをチェックする

前述した手順でArcher C80を選択すると、ローカルIPが自動的に入力される。

この数値は後述するポートフォワーディング設定に使用するため、メモするなどして控えておこう。

うっかり忘れてしまうと再度ここにアクセスして数値をチェックすることになる。とても面倒だ。

場合によっては何度も忘れてその都度確認することになるかもしれない。やってらんないゾ☆

手順7: [インターネット]タブをクリックする

インターネットタブにアクセスする

Archer C80のローカルIPをしっかり控えたら、上部のメニューにある[インターネット]をクリックしよう。

ここからポートフォワーディグ設定を実際に行っていくことになる。左ペインに[ポートマッピング]があるのでこれもクリックしておこう。

手順8: [ポートフォワーディング]の右下にある[+]をタップする

ポートフォワーディングの「+」をクリックする

右ペインを見ると、[ポートフォワーディング]の右下に[+]マークの追加ボタンがある。

ここをクリックすると入力ウィンドウが表示されるので、次の手順に進もう。

手順9: 必要な情報を入力する

必要な情報を入力する

ここに必要な情報を入力し、FG4023Bに着信したマジックパケットをArcher C80に転送するように設定する。具体的な設定内容は以下のとおり。

  • サービス名: 任意の名称(今回はWoLと設定)
  • 端末: プルダウンから[Archer C80]を選択
  • LAN IPアドレス: Archer C80のローカルIP(通常は自動取得されるが、されない場合は手順6で確認したもの)
  • タイプ: ポート
  • プロトコル: UDP
  • 公開ポート: 任意の値(今回は2304)
  • 内部ポート: 任意の値(今回は2304)

すべての情報を正しく入力したら、[保存]をクリックして次の手順に進む。

手順10: [適用]をクリックする

[適用]をクリックする

画面を下の方にスクロールすると、[適用]と書かれた緑色のボタンがある。これをクリックすると設定が保存されるので、クリックしてFG4023Bの設定は完了

続いてTP-LINKのルータ(Archer C80)の設定に移ろう。

TP-Linkのルータ(Archer C80)の設定

TP-Link Archer C80

続いてTP-Linkのルータ(Archer C80)の設定を行おう。こいつにはFG4023Bから転送されてきたマジックパケットをPCに転送する仕事をしてもらう。

こちらもブラウザを起動し、Archer C80のローカルIPをアドレスバーに入力してログイン画面にアクセスしよう。アクセス後の作業は以下のとおり。

  1. 管理用ID/PWを入力してログインする
  2. 上部にある[詳細設定]をクリックする
  3. 左ペインの[ネットワーク]をクリックする
  4. [DHCPサーバ]をクリックする
  5. WoLで起動したいPCのMACアドレスとローカルIPを確認する
  6. 後ほど使用するからメモ等に控える
  7. 左ペインの[NAT転送]をクリックする
  8. [ポート転送]をクリックする
  9. [追加]をクリックする
  10. 以下の情報を入力する
  11. [ステータス]をONにして完了

以下でそれぞれの手順を画像つきで詳しく解説する。

手順1: 管理用ID/PWを入力してログインする

PWを入力してログインする

Archer C80のログイン画面にアクセスしたら、パスワードを入力してログインしよう。

ログインにTP-Link IDを使用している場合は、IDとパスワードの両方を入力してログインする。

手順2: 上部にある[詳細設定]をクリックする

詳細設定をクリックする

正常にログインできたら、上部のメニューの右側にある[詳細設定]をタップする。

TP-Link製のルータでは、ネットワーク関連の設定は基本的にこのメニューから行う。

手順3: 左ペインの[ネットワーク]をクリックする

ネットワークをクリックする

詳細設定画面にアクセスすると、左ペインにさまざまなメニューが表示される。

今回はそれらの中から[ネットワーク]を選択しよう。

手順4: [DHCPサーバ]をクリックする

DHCPサーバをクリックする

次に[DHCPサーバ]をクリックする。

これはルータにアクセスしているデバイスの一覧をチェックしたり、IPアドレスを変更・固定したりするときに使うもの。

クリックしたら次に進もう。

手順5: WoLで起動したいPCのMACアドレスとローカルIPを確認する

MACアドレスとローカルIPを確認する

DHCPサーバの画面にアクセスすると、アクセスしているデバイスのリストが表示される。

WoLで起動したいPCが正しく接続されていたら、ここにMACアドレスとローカルIPが表示されているので、チェックしておいてほしい。

この2つの情報は各種設定に必要になるので、メモするなどして忘れないようにしよう。忘れるとFG4023Bのときみたいにここに確認しにこなければならないゾ☆

手順6: 左ペインの[NAT転送]をクリックする

NAT転送をクリックする

次に、左ペインにある[NAT転送]をクリックする。

クリックするとツリーが展開されるので、次の手順に進もう。

手順7: [ポート転送]をクリックする

ポート転送をクリックする

展開されたツリー内に[ポート転送]という項目があるので、続いてこれをクリックしよう。

その下にあるポートトリガーと勘違いしやすいので要注意。

手順8: [追加]をクリックする

追加をクリックする

何も登録していなければポート転送には何も表示されていないが、右上に[追加]というボタンが表示されているはず。

これをクリックしてマジックパケットをPCに転送する設定を行おう。

手順9: 必要な情報を入力する

必要な情報を入力する

追加ボタンをクリックすると上記のような設定画面が表示される。これが表示されたら以下の内容を入力しよう。

これはFG4023Bから受け取ったマジックパケットを直接PCに送りつけるための設定だ。

  • サービス名: 任意の名称(今回はWoL)
  • デバイスのIPアドレス: 手順5で確認したローカルIP
  • 外部ポート: FG4023Bの内部ポートに設定した値(今回は2304)
  • 内部ポート: 任意の値(今回は2304)
  • プロトコル: UDP

すべての設定が完了したら、[保存する]をクリックする。これでポート転送のところに表示されているはずなので、問題ないか確認して次に進む。

手順10: [ステータス]をONにして完了

ステータスをONにする

入力した内容に問題がないことを確認したら、ステータスをクリックしてONに切り替えれば設定完了。

スイッチが右側になっていることを確認し、問題がなければブラウザを閉じてもOK。

DDNSサービス(no-ip.com)の設定

出典: https://www.noip.com/

次に、WANから自宅ネットワークにアクセスできるようにするためにDDNSの設定を行おう。

固定IPであればDDNSでなくてDNSでOKだが、NURO光では固定IPサービスを提供していないのでDDNSを使うことになる。

今回はNo-ipというDDNSサービスを利用する方法を解説するので、どのサービスを使ったらいいかわからない人は参考にしてほしい。

no-ipの公式サイトにアクセスしたら、以下の手順で設定しよう。

  1. [Sign up]をクリックして登録する
  2. [More Records]をクリックする
  3. 必要な情報を入力して[Create Hostname]をクリックする

こちらもそれぞれの手順を詳しくチェックしていこう。

手順1: [Sign up]をクリックして登録する

新規登録またはログインする

no-ipの公式サイトにアクセスしたら、[Sign Up]をクリックして新規登録しよう。

もし、すでにno-ipを使っていてアカウントを持っているなら[sign-in]をクリックして自分のアカウントでログインするだけでOK。

新規登録する場合は、上記のようにメールアドレスとパスワードを入力するウィンドウが表示される。

こちらは指示通りに入力すれば問題ない。ただし、[Hostname]は後ほどまとめて設定するのでここでは空欄にしておこう。

代わりに[Create my hostname later]にチェックを入れればOK。

手順2: [More Records]をクリックする

More Recordsをクリック

アカウントの登録・ログインが完了したら、アカウントページの右ペインにある[More Records]をクリックする。

これをクリックすると必要な情報をまとめて設定できるので手間がかからない。

手順3: 必要な情報を入力する

必要な情報を入力する

上記のような設定画面が表示されたら、以下の情報を入力する。

  • Hostname: 任意の文字列(他のユーザーと被るものは不可)
  • Domain: リストから選択
  • IPv4 Address: 自宅ネットワークのグローバルIP
  • Record Type: DNS Host(A)

入力が完了したら[Create Hostname]をクリックしよう。これで設定は完了なのでDDNSを使えるようになる。

もし、自宅ネットワークのグローバルIPがわからない場合は以下のサイトにアクセスしよう。

リンク: My Global IP

クリックするとグローバルIPが表示されるので、この数値をそのまま入力する。

WoL用スマホアプリ(WoLOn)の設定

スマホ

次に、外出中にWoLを使用できるようにスマホアプリの設定を行おう。

今回はWolOnというアプリを使用した方法を解説する。とても使いやすいアプリなので、WoL環境を構築したいならぜひ使ってみてほしい。

具体的な設定手順は以下のとおり。

  1. [WolOn]アプリをインストールする
  2. アプリを起動する
  3. [WAN]をタップする
  4. 右下の[+]をタップする
  5. 雲のマークをタップする
  6. 必要な情報を入力する
  7. 登録されたことを確認して完了

それぞれの手順について詳しくみていこう。

手順1: [WolOn]アプリをインストールする

アプリをインストール

最初に、[WolOn]アプリを手持ちのスマホにインストールする必要がある。

アプリのインストールは以下から行えるのでサクッとインストールて次に進もう。

手順2: 右下の[+]をタップする

追加ボタンをタップする

アプリのインストールが完了したら起動しよう。

起動すると上記のような画面が表示されるはずなので、右下の[+]マークのボタン(追加ボタン)をタップする。

手順3: 雲のマークをタップする

雲のマークをタップする

追加ボタンをタップすると、上記のように謎のボタンが増殖する。

今回はWANからWoLするので、雲マークのアイコンをタップすればOK。漢字の「品」のように見えるマークはLANからWoLするときに使うものなので、必要ならこちらも設定してしまおう。

手順4: 必要な情報を入力する

必要事項を入力する

WANからWoLできるようにするには、上記の入力画面に以下の情報を入力する。

  • Device Name: 任意の名称(今回はPC)
  • MAC Address: 起動したいPCのMACアドレス
  • Router IP/Hostname: DDNSに設定したアドレス
  • Port: Archer C80の外部ポートに設定した値(今回は2304)
  • Status check IP/Hostname: 空欄
  • SecureOn: 空欄

間違いなく入力したら、[Save]をタップして完了。

手順5: 登録されたことを確認して完了

登録を確認する

問題無く登録できていれば、上記のようにデバイスの情報が表示される。

WANからWoLするときは、アプリを起動してこのボタンをタップするだけでPCが起動するはず。

いざというときにしっかり動作するように、設定が終わったらPCをシャットダウンしてWANからマジックパケットを送信し、ちゃんと起動することを確認しておこう。

今後は多少の改善を予定

デスクに設置したPC

今回はFG4023Bが受信したマジックパケットをArcher C80が中継してPCに直接届けるという形でWANからWoLできるようにしている。

最初はArcher C80のブロードキャストアドレスを使用する方法を思いついたのだが、LANからは問題無くブロードキャストアドレスを使用できるがWANからでは使用できないという問題が発生した。

今後はこれを改善し、WANからでもブロードキャストアドレスを使用できるようにするかもしれない。進捗があったら更新する予定。